構造最適化・形態創生
Structural optimization & morphogenesis
力学的な合理性を指標にして,構造の形や部材の配置を数理的に導きます。トポロジー最適化や形状最適化,数理計画法を用い,設計者の発想を広げる新しい形態を探ります。
- トポロジー最適化
- DC 計画
- 耐震要素の最適化
- 連続体シェル
構造と形態の関係性に着目し,コンピュテーショナルデザインや数理的手法を用いて,形態と構造性能が密接に関係する構造形式の数理モデルの構築と解析に取り組んでいます。
Structural optimization & morphogenesis
力学的な合理性を指標にして,構造の形や部材の配置を数理的に導きます。トポロジー最適化や形状最適化,数理計画法を用い,設計者の発想を広げる新しい形態を探ります。
Shells & spatial structures
自由曲面シェルやグリッドシェル,部材の曲げを利用する構造など,形態と構造性能が密接に結びつく空間構造について,形状を決める方法と解析の手法を研究します。
Tensegrity & kirigami
圧縮材と張力材の釣り合いで成り立つテンセグリティや,切り込みによって平面から立体をつくる切り紙構造を,数理モデルによって解析・設計します。
Masonry & reciprocal frames
部材同士が支え合うレシプロカルフレームや,圧縮力だけで成り立つ組積造のアーチなど,部材の配置と形によって安定する構造を探ります。
Seismic design & vibration control
倍速機構を用いた制振装置や連結制振,分散型 TMD など,建物の揺れを抑える仕組みと,その合理的な設計法を研究します。
Computation in structural practice
Rhinoceros/Grasshopper や Revit と構造設計を連携させ,図面作成やモデル化を自動化するなど,実務の構造設計を情報技術で支える研究にも取り組みます。
PDF は学生が作成した研究紹介の資料です。卒業生を含む過去の研究テーマは Member の各年度で見られます。
トップページでは,ブラウザの中でトポロジー最適化を実際に計算しています。トポロジー最適化は,与えられた設計領域・荷重・支持条件のもとで,限られた量の材料を「どこに置けば最も変形しにくい構造になるか」を求める手法です。穴の数や部材のつながり方(位相=トポロジー)まで含めて形が決まるため,設計者が思いつかない形態が現れることがあります。
minimize C = fTu subject to K(ρ)u = f, ∫D ρ dΩ ≤ Vmax
コンプライアンス C(外力がする仕事=構造全体の変形のしやすさ)を最小化します。変形は 4 節点の平面応力要素(ヤング係数 1,ポアソン比 0.3)による有限要素法で求め,剛性方程式はバンド行列の Cholesky 分解で直接解いています。計算は画面の描画と別のスレッド(Web Worker)で行い,1 反復ごとの結果を少しずつ補間して表示しています。
∂φ/∂t = K ( d − λ ) + τ ∇²φ, −1 ≤ φ ≤ 1
φ ≥ 0 の部分を材料とし,各点の感度 d(ひずみエネルギー密度を平均値で正規化したもの)が体積制約のラグランジュ乗数 λ を上回るところで材料が増えるように φ を更新します(Yamada et al. 2010 の考え方)。拡散項 τ∇²φ が形の滑らかさを決める正則化で,パネルの「形の複雑さ」を上げると τ が小さくなり,細かい部材の多い形になります。更新は陰解法で解き,λ は更新後の体積が目標値に一致するよう二分法で決めています。最初は設計領域全体を材料で満たし,体積を少しずつ減らしながら穴をあけていきます。
φi = f(x′)·{ 1 − ( (x′/L)6 + (y′/f(x′))6 )1/6 }, φ = (1/k) ln Σi exp(k φi)
部材 i の局所座標 (x′, y′) で表した位相記述関数 φi は,部材の内側で正,輪郭でゼロになります(f(x′) は部材軸に沿って線形に変わる半幅)。全部材の φi は KS 関数(k = 1.5)でなめらかに合わせて全体の φ とし(単純な最大値 maxi φi では部材の継ぎ目に段差や角が残るため,継ぎ目に小さな丸みがつくようにしています),平滑化したヘヴィサイド関数で要素の剛性を決め,6 × 部材数 の設計変数に対する感度を求めて,MMA(Method of Moving Asymptotes)で更新します(Guo et al. 2014)。設計変数が少なく,最適化の結果がそのまま「部材」として読み取れるのが特徴です。パネルの「初期の部材配置」で,最初に置く X 字状の部材の数を選べます。
反復回数を減らすため,目的関数は ln C として規模をそろえ,MMA の移動限界は最初の数反復だけ小さく(0.02)して部材の配置が落ち着いてから広げて(0.05)います。また,材料から 2 要素以上離れた空洞の要素は剛性方程式から外して(支持点からのつながりを確認したうえで)解く規模を小さくしており,1 反復あたりの計算時間も短縮しています。直近 8 反復のコンプライアンスの平均が,その前の 8 反復と比べて 0.5% 未満しか変わらなくなった時点を収束とみなします。
Vk+1 = max{ Vk(1 − ER), Vmax }, αe ≈ σvM,e
要素を「ある(1)」か「ない(0)」のどちらかで扱い,応力の小さい要素を少しずつ取り除いていく方法です(Xie & Steven 1993)。拡張 ESO 法は,取り除くだけでなく,応力の高い部分の周りに要素を付け加えることも許すもので(Cui, Ohmori & Sasaki 2003 ほか),日本の自由曲面シェルや樹状構造の形態創生で用いられてきました。ここでは,各要素中心のミーゼス応力を節点に平均してから半径 max(2, 要素数/15) のフィルターでならし,さらに前の反復の値と平均して(Huang & Xie 2007),振動しにくくしています。1 反復で減らす体積の割合が進化率 ER(パネルで 1〜3% を選べます)で,付け加える量は 2% までに抑えています。目標体積に達してから,直近 5 反復のコンプライアンスの合計がその前の 5 反復と 0.1% 未満しか変わらなくなった時点で収束とします。
MMC 法は部材が重なり合ったまま動くため輪郭に小さな凹凸や継ぎ目の跡が残り,拡張 ESO 法は要素単位で 0/1 を決めるため輪郭が階段状になります。そこで,収束後に次の後処理をかけてから表示しています(MMC 法と拡張 ESO 法の既定)。
平滑化だけでは,拡張 ESO 法で生じやすい 1〜2 要素幅の細い部材が消えて部材がちぎれてしまうため,骨格線のまわりを残すようにしています。これにより部材の位相(つながり方)は変えずに,突起や段差だけを取り除くことができ,最適化で得た部材構成がそのまま残ります。MMC 法では,代わりに SIMP 法で形を整える仕上げも選べます(Li et al. 2025 の MMC-SIMP 逐次法の考え方を単一材料の形の仕上げに用いたもの)。MMC の材料域を 2 要素ぶん広げた帯の中だけを設計領域とし,密度フィルター+ヘヴィサイド射影(鋭さ β を 2 から 16 へ段階的に上げる)と最適性規準法で密度を更新します。輪郭はより最適に近づきますが,細い部材がちぎれて位相が変わることがあるため,既定は平滑化にしています。
黒い部分が材料(構造)です。レベルセット法で輪郭の外側に見える細い線は,レベルセット関数 φ = −0.5 の等値線です。φ は材料の内部で 1,空洞で −1 にそろい,その間の境界付近だけで連続的に変わります。この線と黒い輪郭(φ = 0)の間は「まだ材料ではないが φ が −1 まで下がりきっていない」遷移帯で,感度が高い場所ではこの帯の側へ輪郭が広がっていきます。帯の幅は拡散係数 τ で決まり,「形の複雑さ」を上げる(τ を小さくする)ほど細くなります。MMC 法の細い線は各部材の輪郭と軸です。拡張 ESO 法では計算中は要素の有無(0/1)をそのまま表示し,収束後に平滑化した形に切り替わります。
設計領域をクリックすると,その点に荷重が移ります(ドラッグで向きを 15° 刻みで変えられます。Shift キーを押しながらクリックすると荷重を追加)。形はその場から計算を続けて組み変わります。右クリックまたは「境界条件を選ぶ」から,片持ち梁・単純梁・橋・吊り構造・水平力を受ける架構を選べます。設計領域の大きさと要素数は画面の大きさに合わせて決まります(パソコンでおよそ 3,300 要素)。