研究室紹介
建築計画研究室 Architecture Planning Labo.

環境共生型木造実験住宅 建設過程

 この住宅の着工から竣工までの過程を記録したものを紹介します。
「  」は木造建築の基礎用語ですので、建築学科の学生は覚えてください。

2007.6.11
キャンパス内のどこに建てるかを検討中。
その結果、日当たりの良い建築学科棟の向かいの敷地に決定しました。

2007.7.31
安全に工事が遂行されることを祈って「地鎮祭(安全祈願祭)」が行われました。
建築学科在学生も参加しました。
6月20日の建築基準法大改正の影響で、着工が約1ヶ月遅れました。

2007.8.2
住宅が建つスペース以外の樹木はできる限り残しました。

2007.8.31
建物が建つ位置を示す「地縄張り」と、基礎工事のための「遣り方(やりかた)」です。

2007.9.18
「仮囲い」と「基礎工事」。コンクリートの塊は実験用の雨水を貯める水槽です。

2007.9.21
「基礎工事」です。冷暖房時に「蓄熱効果」を利用するため「ベタ基礎」を採用。
青いものは「断熱材(ポリスチレンフォーム)」です。

左が「土間スラブ」の配筋、右が「布基礎」に設ける「アンカーボルト」と「ホールダウン金物」。

2007.9.28
「基礎」が完成しました。右は「桁」の仕口(工場でカットしたもの)。

2007.10.1
1階の「床組み」を開始しました。
左は「土台」、右は「大引き」「根太」「火打ち土台」が組まれています。

「建て方」をする際に、鳶さんの足場確保のために、床の下地(合板)を張りました。
左の真ん中にダミーの「布基礎」をつくりました。

「建て方」です。1階の「管柱」「通柱」「桁」「胴差」「床梁」「火打ち」などが組まれています。
空間創造研究室のOBも職人として参加しました。
この段階では「筋違い」は入れず、「仮筋違い」で固定しておきます。

2階の「床組み」ができました。やはり、鳶さんの作業のために合板を敷きましたが、固定はしていません。

2階の「柱」「小屋梁」を組立て中。

「小屋梁」「小屋束」ができました。一部に、赤松丸太の梁を架けてみました。

左は「母屋」、右は「垂木」です。部材の「仕口」は工場でカット(プレカット)されているので、一日で一気に「上棟」まで行きます。

左の仕口が「蟻落とし(ありおとし)」、右が「鎌継ぎ(かまつぎ)」です。少々難しい言葉かもしれません。

2007.10.2
「垂木」の間に「断熱材」を敷きこんでいます。
右はその上に、「野地板」(屋根材の下地)。
「棟」の部分にあるスリットは空気を循環させる実験用の隙間です。

「野地板」の上に防水材「アスファルトルーフィング」が敷かれました。
右は、その上に空気層を設けるための桟木です。(←実験用なので一般的ではありません)

内装工事は、雨で濡れないように屋根を葺いてから行います。
右は4年生が見学している様子。

2007.10.3
屋根以外は、まだ骨組みの状態です。

2007.10.4
建築学科製図室からみた風景です

2007.10.5。
屋根材は「ガルバニウム鋼板」を採用しました。
空気層の空気を暖めて、冬の暖房に使うためです。

2007.10.16
建物が垂直に建っているかを確かめた後、ようやく「筋違い(すじかい、筋交い)」が入りました。

2007.10.25
壁の下地材になる「構造用合板」が張られ、「アルミサッシ」が取り付けられました。
サッシは断熱効果の高い「複層ガラス」です。
コストを抑えるために、すべて既製品の「引違い」タイプとしました。

建物中央は吹抜け空間としました。
やはり明るく開放的な空間が欲しいものです。
しかし、この明るさで、夏(エアコンなし)でも快適な空間は本当に実現できるのか、実験が楽しみです。

2007.10.27
湿気は通すが、雨水は通さない「透湿防水シート」です。
外壁の防水はこのシートの性能が重要です。

2007.11.5
透湿防水シートの上に、「結露」対策のために通気層を設けるための「胴縁」をつけました。
右は玄関で、杉の「ドイツ下見板張り」にしました。
簡単に手が届くので、竣工後でも自分たちで塗装できます。

天井下地「野縁」、壁下地「間柱」、「まぐさ」、「窓台」などが組まれました。

左は吹抜け空間の2階です。右は2階の小屋裏です。
学生が小屋組を実測しやすいように「トップライト」を設けました。

外壁は「押出し成形セメント版」を採用しました。メンテナンスフリーだからです。
この外壁を使って、生物化学工学科の井原教授が光触媒の実験を行います。

2007.11.14
外壁材をずべて張リ終わりました。

天井材が張られました。一部は、内壁材や天井材を張らずに、
学生が建物の「軸組み」や「床組み」を観察・実測できるようにしています。

2007.11.22
足場がある間に木部の塗装(防腐材)を行いました。
浸透性で無色透明なので、高度な技術は必要なく、
建築学科の学生とOBの楠本さんがすべて塗りました。

2007.11.23
外観は、ほぼ完成しました。
 

2007.11.30
内装材は、実験時に剥がせるよう、すべて合板にしました。
左右の部屋は針葉樹合板、中央吹き抜け空間にはOCBを張りました。

中央吹抜け空間の上部は、天井を張らずに「垂木」をそのまま見せています。
右は、実験用の空気循環用のダクト(銀色の保温材が巻かれているもの)と
雨水循環用の配管(青色の保温材が巻かれているもの)です。

「雪止め金具」や「雨樋」、「庇」がつきました。

2007.12.5 冬の低い高度からの日差しが室内に差し込む様子です。

2007.12.21 まもなく「竣工」です。

左はきれいな雨水を集める装置。右は、集めた雨水を流す蓄熱式床冷暖房の配管です。

中央吹抜け空間の床に、建築材料研究室で研究中の非焼成セラミックスタイルが張られました。
小さいタイル(150×150)は、建築材料研究室の学生が制作したものです。